Yの悲劇 [読書感想文]
この本、日本で古今の海外推理小説のランキングをするとほとんど一位になるほどの名作なんだそうです。
犯人が推理マニアでゲーム的に殺人を犯すような非現実的ではなく、結果的に難解な殺人事件となった展開などよく出来た内容だと思います。
しかし、主人公の耳が不自由だったり、ハムレット荘なんていう異常に豪華な家に住んでたり、筋に関係のない変装をしようとしたりと、そういういかにも物語的なところがあまり好きではなかったです。
モルグ街の殺人事件 [読書感想文]
ヴァン・ダインの二十則というのがあります。
それとは違って昔の推理小説には前置きが長い、言葉遣いが難しいなどありますが、シチュエーションの空気感を大事にしてあるのが多く、過剰な展開がない分、当時の街のイメージなどを思い描くことが出来ます。
モルグ街の殺人事件はおよそ150年前の作で推理小説の原点。
ロックでいうと、ロバート・ジョンソンを聴いているような感じです。
シンプルなんだけど元となるコード進行みたいなのがしっかり出来ていて読者を楽しませてくれます。
小池真理子の「無伴奏」 [読書感想文]
中川翔子さんが薦めていた小説を読んでみました。
60年代。いわゆる全共闘を背景とした、若者が団結すれば世の中を変えられると本気で思っていた時代を生きた男女二組の物語です。それから15年後に生まれた自分からしてみれば羨ましいです。ビートルズもストーンズもフーもいたし、ヘルメットかぶって大声を出せるなんていいですね。許せるもんだったらやってみたい。
村上春樹氏の「ノルウェイの森」に近い、話の展開よりも空気を大事にした内容です。
いきなりネタばらしですが、男が男を好きになる話です。
っていっても表紙を見れば大体そんな話かな?って推測出来ます。
確かに面白くてあっという間に読んでしまいましたが、金持ちの道楽息子が好き勝手やって取り返しのつかないことになったって話なもんで、全く共感が出来なかったのが難点です。
江戸川乱歩 [読書感想文]
黄色い部屋の謎 [読書感想文]
1907年に書かれた推理小説のルーツとも言われる古典的名作。
作者はオペラ座の怪人も書いたガストン・ルルー。
最近の本にはあんまり関心がなく、どうせ読むんだったら時代の趨勢に打ち勝ったのを読みたい自分です。
読み進むにつれ犯人が分かった時はおおーって感じでしたが、そこまでいきつくまでが大変。
とにかく文章が長々しすぎてだんだん腹が立ってきます。でも、黒死館殺人事件に比べればどーってことないっす。この本が本当に面白かった人がいたらきちんとあって話したいくらいです。
ミステリーとしては面白いと思いますが、それを通じてヨーロッパの100年前の空気を味わおうと思ったら薦められないですね。
黄色い部屋の謎―乱歩が選ぶ黄金時代ミステリーBEST10〈2〉
- 作者: ガストン ルルー
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1998/10
- メディア: 文庫